消化器外科の特徴

外科手術を通して地域医療へ貢献します

 当科は、消化器がんに対する外科治療を中心に、地域のみなさまによりよい医療をご提供できるよう、ベテランから若手まで9名の医師が、それぞれ専門性を有しながら幅広い外科疾患に対応出来るよう日々研鑽に励んでいます。
 当院は、2011年に県指定がん拠点病院、2021年には国指定のがん診療連携拠点病院に認定され、これまで地域のがん治療に貢献してまいりました。さらに2023年1月には、がんゲノム医療連携病院にも認定され、院内で専門性の高い最先端のがん治療を行っております。新しい手術手技導入の一環として、2017年より直腸がんに対しておこなってきたロボット支援下手術を、2023年9月から結腸がんに対しても開始しました。今後もロボット支援下手術が保険収載の対象となる疾患は、悪性、良性疾患ともに拡大していくと思われ、同年12月には現在使用しているdaVinci Surgical Systemの最新機種への更新を行いました。さらに、胃粘膜下腫瘍などの良悪性境界領域の疾患に対する低侵襲手術として、腹腔鏡下胃内手術や、腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(LECS: Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery) を行っています。今後もより低侵襲で質の高い手術をご提供できるよう努めてまいります。
 また、悪性腫瘍以外の胆石性胆嚢炎や鼠径・大腿・腹壁ヘルニア、直腸脱、急性虫垂炎、消化性潰瘍穿孔、腸閉塞などの良性疾患に対しても良質の外科治療をご提供しています。その一環として、腹部救急疾患に迅速に対応すべく、2013年5月から「腹部救急ホットライン」を導入しました。これは、当院外科スタッフがスマートフォンを常時携帯し、救急病院や近隣で開業されている先生方から、急性腹症に対する緊急手術や吐・下血などで緊急の検査・処置が必要であると判断された場合に、直接電話でご相談を受けるシステムです。ホットラインの開設より10年が経過し、近隣の医療機関より緊急手術のご依頼が増えております。
 これからも当科は、外科治療のみならず、包括的なケアを多職種連携のもと行い、より一層地域医療へ貢献してまいります。

代表的な疾患

具体的な疾患について

ロボット支援手術

ロボット支援手術について

2023年12月に、daVinci Surgical Systemを最新機種へ更新しました。

daVinci Surgical System -Xi-

写真提供:インテュイティブサージカル合同会社

 当科では2017年からdaVinci Surgical Systemを用いた直腸がん手術をおこなっています。多関節のロボットアームにより、今までの腹腔鏡での手術では困難であった骨盤深部での繊細な操作を可能としています。そのため骨盤深部に分布する排尿を司る自律神経を温存するのに適した手術であると言えます。ロボット支援手術では、術後の痛みが少ない、低侵襲であるという腹腔鏡の利点はそのままに、腹腔鏡に比べて直腸がん術後に生じることが多い排尿障害を減らすことが可能となります。2023年9月からは上記の直腸がんに加えて、結腸がんに対してもロボット支援下手術を開始しています。今後、胃がん、鼠径ヘルニアなどにも適応を拡げていく予定で、より低侵襲で質の高い診療をご提供できるよう努めてまいります。

腹部救急ホットライン

腹部救急ホットラインについて

 当科は救急疾患にも力をいれており、2013年5月から「腹部救急ホットライン」を導入しております。これは、当院外科スタッフが24時間、365日スマートフォンを常時携帯し、救急病院や近隣で開業されている先生方から 、急性腹症に対する緊急手術や吐・下血などで緊急の検査・処置が必要であると判断された場合に、直接電話でご相談を受けるシステムです。ホットラインの開設より10年が経過し、近隣の医療機関より緊急手術のご依頼が増えております。今後もより幅広く認知、ご活用いただき、地域の救急疾患診療にもこれまで以上に貢献していきます。

所属医師のご紹介

藤本 康二 副院長 兼 がん診療センター長
神戸大学 昭和62年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会認定医・専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会認定医・専門医・指導医
  • 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医
  • 日本肝胆膵外科学会評議員
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本肝胆膵外科学会
ひと言
 2006年から当院で消化器外科医として勤務しています。以前に比べ、高齢の患者さんが増えてきており、それぞれの患者さんに外科手術のみならず、術後の包括的なケアを適切に提供していきたいと考えています。

上原 徹也 部長 兼 医療安全室長
京都大学 平成3年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医
  • 近畿外科学会評議員
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本救急医学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本癌治療学会
  • 日本肝胆膵外科学会
  • 日本食道学会
  • 日本胸部外科学会
  • 近畿外科学会
ひと言
 現在、外科医としての経験を活かし、病院の医療安全ならびに外科系救急を統括する役割を担っています。チーム医療の重要性が叫ばれる昨今、今は院内のチームのみならず開業医の先生方とも強く情報連携し、機敏に対応することが地域全体の医療安全に繋がると信じます。引き続き連携する医療機関の皆様と心の繋がりあった関係を求めていきたいと思っています。

小川 晃平 部長 兼 消化器センター長
京都大学 平成4年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医
  • 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医
  • 日本肝臓学会肝臓専門医
  • 日本移植学会移植認定医
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本肝胆膵外科学会
  • 日本肝臓学会
  • 日本移植学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本胆道学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本肝移植学会
ひと言
 2024年4月より神鋼記念病院に勤務しています。これまで京都大学、愛媛大学で肝胆膵領域悪性腫瘍に対する外科手術、肝移植医療を主に行ってきました。肝胆膵領域の血管合併切除・再建を伴う拡大手術、腹腔鏡下肝切除・膵切除などの低侵襲手術を専門としています。神鋼記念病院で手術を受けてよかった、と言っていただけるよう頑張ります。

前田 哲生 科長
近畿大学 平成16年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会専門医
  • 日本大腸肛門病学会専門医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科・大腸)
  • 日本がん治療認定医機構認定医
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本ロボット外科学会
ひと言
 2023年9月より科長に就任いたしました。2011年から2014年までの間、静岡がんセンターで大腸がんに対する開腹手術はじめ、腹腔鏡下、ロボット支援下手術と低侵襲手術を学んでまいりました。身に着けた技術を更に研磨し、より質の高い治療を提供すべく、少しでも地域の皆様に貢献できるよう頑張って参ります。

小松原 隆司 科長代行
神戸大学 平成18年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 消化器がん外科治療認定医
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本肝胆膵外科学会
ひと言
 2006年に神戸大学を卒業し、当院で初期・後期研修をおこなった後、他院での勤務を経て2015年より当院消化器外科に勤務しております。現在は上部消化管・肝胆膵疾患を中心に診療をおこなっています。今後も幅広く患者さんの診療に役立てるよう努力してまいりますので今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

光岡 英世 医長
神戸大学 平成20年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科・ヘルニア)
  • 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本肝胆膵外科学会
  • 日本ヘルニア学会
ひと言
 2008年に神戸大学を卒業した後、他院での勤務を経て、2016年より神鋼記念病院で勤務しております。専門は上部消化管・肝胆膵領域ですが、ヘルニアの手術経験も多く、日本内視鏡外科学会技術認定医をヘルニア領域で取得しております。患者様に対して幅広く、高い専門性をもって誠心誠意対応いたしますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

口分田 亘 医長
香川大学 平成27年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本大腸肛門病学会
ひと言
 2015年に香川大学を卒業し、当院で初期・後期研修をおこなった後、消化器外科に勤務しております。下部消化管手術を中心にヘルニアや胆嚢摘出術、その他緊急手術などを担当させていただいています。

谷川 優麻 医師
岡山大学 平成28年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
  • 日本DMAT隊員
  • ICLSインストラクター
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
ひと言
 私は神戸市外で3年間勤務をしたのち、2019年から当院に消化器外科専攻医として赴任し、現在は医師として勤務しております。神戸市は病診・病病連携がすすんでいますが、私もその一員として、地域の皆様が笑顔で健康に過ごせるように微力ながら尽力いたしますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

市川 直 医師
福井大学 平成30年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  •  
所属学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
ひと言
 2023年10月から当院で勤務しております、専攻医3年目の市川直と申します。
当院での勤務は、慣れないことが多いですが、日々精進してまいりますので、今後も何卒宜しくお願い致します。
中川 慶二 専攻医
 
取得資格
(専門医・認定医等)
  •  
所属学会
  •  

手術実績

手術実績

( )内は腹腔鏡手術件数
 2020年度2021年度2022年度2023年度
食道がん切除術1(1)100
胃切除術21(18)25(21)21(21)24(23)
胃全摘術13(6)5(3)9(7)4(3)
結腸切除術104(86)73(68)83(74, ロボット2)52(46, ロボット1)
直腸前方切除術39(23, ロボット16)44(20, ロボット22)21(9, ロボット12)34(6, ロボット28)
直腸切断術5(3, ロボット2)3(2, ロボット1)4(2, ロボット1)2(1, ロボット1)
骨盤内臓全摘術4220
肝区域・葉切除術22(1)37(5)
肝部分切除術5(4)10(7)5(1)9(7)
膵頭十二指腸切除術111111(1例は膵全摘)12(1例は残膵全摘)
膵体尾部切除術5(2)1(1)5(4)3(2)
胆嚢摘出術117(113)125(121)116(111)123(119)
虫垂切除術62(60)54(53)62(62)67(67)
ヘルニア修復術139(73)166(88)156(95)155(100)
肛門・直腸脱手術16(LVR4)25(LVR7)13(LVR6)11(LVR8)
LVR:腹腔鏡直腸固定術

学会認定施設

  • 日本外科学会外科専門医制度修練施設(指定施設)
  • 日本消化器外科学会消化器外科専門医基幹研修施設
  • 日本消化器病学会消化器病専門医基幹研修施設
  • 大腸肛門病学会関連施設

学会・研究活動実績

2023年度

論文

  • Shishido-Y
    Fistula formation into other organs secondary to intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas: A case report and literature review
    Medicine 2023; Jul 7;102(27): e34288
  • Shishido-Y
    Duodenal ulcer bleeding from a branch of the middle colic artery: A case report
    Medicine 2023; Nov 3;102(44): e35955
  • Shishido-Y
    Survival outcomes of lung metastases from colorectal cancer treated with pulmonary metastasectomy or modern sysytemic chemotherapy: a single institution experience
    Journal of Cardiothoracic Surgery 2023; Nov 14; 18(1): 327

学会発表(発表年月日順)

  • 口分田亘
    腹腔鏡下胆嚢亜全摘術における術後胆汁漏の検討
    第123回日本外科学会定期学術集会 2023.4.29 東京
  • 光岡英世
    当院におけるNuck管水腫手術例の検討
    第21回日本ヘルニア学会学術集会 2023.5.26-27 大阪
  • 宮部秀晃
    腹腔鏡下手術を施行した横行結腸間膜裂孔による絞扼性イレウスの 1 例
    第48会日本外科系連合学会学術集会 2023.6.8 横浜
  • 上原徹也
    CT検査報告書の患者への説明状況の把握に向けて-医療安全の新たな取り組み
    第25回日本医療マネジメント学会学術総会 2023.6.23-24 横浜
  • 谷川優麻
    当院における完全直腸脱に対する腹腔鏡下直腸腹側固定術の治療成績
    第78回日本消化器外科学会総会 2023.7.12-14 函館
  • 口分田亘
    絞扼性イレウス手術においてICG蛍光法で蛍光不良域を呈した絞扼腸管の病理学的検討
    第78回日本消化器外科学会総会 2023.7.12-14 函館
  • 藤本康二
    包括的がんゲノムプロファイリング検査実施に関する課題の検証
    第75回兵庫県医師会医学会 2023.10.15 神戸
  • 谷川優麻
    繰り返す胃異所性膵炎に対して腹腔鏡下胃部分切除術を施行した2例
    第36回日本内視鏡外科学会総会 2023.12.7-9 横浜

2022年度

論文

  • Komatsubara-T
    Pancreatoduodenectomy in a patient with celiac axis stenosis and a replaced common hepatic artery: A case report Int J Surg Case Rep. 94: 107088, 2022
 

学会発表(発表年月日順)

  • 小松原隆司
    胃切除後の術後経過における膵萎縮と体重減少の検討
    第37回日本臨床栄養代謝学会学術集会 2022.5.31 大阪
  • 石井正之
    男性の肛門直腸移行部前方の解剖について
    第31回骨盤機能温存研究会 2022.6.11 東京
  • 上原徹也
    医療安全室主導型の内服薬管理の見直しの意義について
    第24回日本医療マネジメント学会学術総会 2022.7.6 神戸
  • 谷川優麻
    腸間膜多発脂肪肉腫の小腸浸潤による消化管穿孔に対して緊急手術を思考し救命し得た1例
    第77回日本消化器外科学会学術総会 2022.7.20 横浜
  • 光岡英世
    非常に稀な肝動脈走行異常を伴った膵頭部腫瘍の1例
    第77回日本消化器外科学会学術総会 2022.7.21 横浜
  • 石井正之
    括約筋間切除術後の生理学的直腸肛門機能評価
    第27回大腸肛門機能障害研究会 2022.9.3 東京
  • 石井正之
    括約筋間切除術後の生理学的直腸肛門機能評価
    第77回日本大腸肛門病学会 2022.10.14 千葉
  • 口分田亘
    回腸人工肛門におけるストマ出口症候群のリスク因子の検討
    第77回日本大腸肛門病学会 2022.10.15 千葉
  • 前田哲生
    直腸癌に対するTMEの術式選択の検討
    第77回日本大腸肛門病学会 2022.10.15 千葉
  • 中川慶二
    SRA温存左半結腸切除術後1年で静脈還流障害による難治性重症虚血性腸炎を来たし再手術を要した1例
    京大外科冬季研究会 2022.12.3 京都
  • 石井正之
    男性の肛門直腸移行部前方の解剖
    第35回日本内視鏡外科学会 2022.12.8 名古屋
  • 口分田亘
    閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対して非観血的整復後に待機的腹腔鏡手術を行った3例
    第35回日本内視鏡外科学会総会 2022.12.8 名古屋
  • 光岡英世
    腹壁瘢痕ヘルニア術後のメッシュ切開部再発に対してIPOMを施行した1例
    第35回日本内視鏡外科学会総会 2022.12.9 名古屋

医学生・初期研修医のみなさんへ

消化器外科では見学を随時受け入れています!

 消化器外科はどんな雰囲気かな?手術室の様子は?など、実際に見学いただき質問に直接お答えします。見学を希望される医学生・初期研修医の方はお気軽に下記までご連絡下さい。

(問い合わせ先)
〒651-0072 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目4-47
社会医療法人神鋼記念会 神鋼記念病院 総務室人事グループ(担当:西岡)
TEL : 078-261-6708(直通)
E-mail: saiyou@shinkohp.or.jp

当院消化器外科で専攻医研修を希望される初期研修医のみなさんへ

 当院消化器外科での外科専門医研修は、「兵庫京大外科専門研修プログラム」に基づいておこなわれます。本プログラムは、神戸市立医療センター中央市民病院を基幹病院とし、当院を含めた兵庫県下の京大外科関連8施設により専門研修施設群を構成します。兵庫県内の有数の高度急性期病院と救命救急センターを有する8研修病院で形成され地域医療にも十分に配慮した教育病院群となっています。本プログラムの詳細は以下のリンクをご参照下さい。

  1. 兵庫京大外科専門研修パンフレット
  2. 外科専門医制度 専攻医募集要項
  3. 兵庫京大外科専門研修プログラム (外部サイト:神戸市立医療センター 中央市民病院)