消化器外科 / 胆石症について
胆石症について
胆嚢とは右上腹部に存在する袋状の臓器で、肝臓に接着する形で存在しています。肝臓では胆汁と呼ばれる消化液(脂肪の消化を助ける働き)が作られ、胆嚢に蓄えながら濃縮します。脂肪分が含まれた食事を摂取することで胆嚢が収縮し、総胆管から十二指腸へと胆汁が排泄され、そこで食事と混ざり脂肪の消化を助ける役割を果たします。このように胆嚢は収縮運動を繰り返しており、その過程で胆嚢内に胆汁のよどみが生じ、徐々に固形化したり、コレステロールが蓄積されたりすることで胆石が発生します。
胆石の診断は一般的に超音波検査や画像検査などで行われます。食生活の欧米化の影響もあり、近年では約10%程度の方に胆石があると言われています。胆石がある人は食事の際に胆嚢が収縮して石が動くため、胆嚢がある右上腹部の鋭い痛み、右肩や右の背中に広がる痛み、吐き気などの発作をしばしば起こします。これを胆石発作や胆石仙痛と言います。このような痛みを生じたことがある人は治療をすることが推奨されています。逆に胆石があっても発作歴のない人もいらっしゃいます。そのような方でも約40%の割合で5~10年以内に症状がでてくると報告されており、希望に応じて予防的な治療を行うこともあります。
また、胆石があることで懸念すべき続発症としては、胆石性胆嚢炎や総胆管結石性胆管炎・膵炎などが挙げられます。胆石性胆嚢炎は胆嚢の出入り口付近に胆石がはまり込むことで胆嚢内に細菌感染が発生する病態で、進行すると胆嚢穿孔や敗血症をきたし生命に関わることもあるため、胆嚢炎が生じた場合には早急な緊急手術が推奨されています。胆石が胆嚢の出入り口を通過し、総胆管に流れ込んだ場合には総胆管結石と呼ばれるようになり、胆汁のうっ滞による黄疸や胆管炎、膵炎などを引き起こすことがあります。こちらも早急に経口内視鏡を用いて、胆汁のうっ滞を解除する必要がでてきます。
胆石症の治療としては、石だけを摘出しても高率に再発するため、胆嚢を摘出する手術が一般に行われています。胆嚢を切除しても、ほとんどの方は食事制限の必要もなく、日常生活も術前と変わりなく過ごすことができますのでご安心ください。
手術はほぼ全ての症例で腹腔鏡手術を行っております。臍と右上腹部に計4箇所小さな穴をあけ、そこから内視鏡や手術用の鉗子を挿入し胆嚢を摘出します。
臍部のみの傷で手術を行う単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術も施行可能ですので、ご希望される場合は外来にて一度ご相談ください。
入院期間は平均5日間程度ですが、ライフスタイルや術後の経過も考慮し、ご希望に応じて柔軟に対応させていただきます。