医療を取り囲む環境は複雑化・高度化しており、看護の世界においても専門分化が進んでいます。
看護ケアの広がりと看護の質向上を目的に日本看護協会では1996年から、資格認定制度を発足させました。専門看護師、認定看護師、認定看護管理者の3つの資格があります。
当院ではがん看護専門看護師2名、慢性疾患看護専門看護師1名、急性重症患者看護専門看護師1名、皮膚・排泄ケア認定看護師2名、感染管理認定看護師2名、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師1名、糖尿病看護認定看護師1名、がん化学療法看護認定看護師2名、乳がん看護認定看護師1名、がん放射線療法看護認定看護師1名、集中ケア認定看護師1名が勤務しています。
当院で働く各専門領域の認定看護師の声をご紹介します。
それぞれの領域で"看護のプロ"として専門性を発揮しつつ、充実した日々を送っている様子がお分かりいただけるはずです。
がん看護専門看護師
-患者さんとご家族の安心・満足・笑顔を目指して-
安藤 公子
がん相談支援センターの専従相談員として、患者さんやご家族、地域住民の方々を対象に、がんに関するあらゆる相談に応じ、サポートさせていただいています。今や、がんは国民の二人に一人は罹患するといわれ、早期治療を行えば完治することも可能な時代となりましたが、患者さんにとって、「がん」という病気のもつ重みや深刻さは、計り知れないものがあることを痛感しています。がん相談員として、相談者の方が自分の力で困難を乗り越え「その人が持つ力」を見いだせるよう、伴走者としての姿勢を心がけています。「がんになっても怖くない社会を創造すること」が私のVisionです。神鋼記念病院のがん医療チームが一丸となって、患者さんとご家族の安心・満足・笑顔を実現できるよう、がん看護専門看護師として、日々、取り組んでいきたいと思っています。
がん看護専門看護師
沖田 知恵
私は緩和ケアチームの専従看護師として、病棟・外来の診断期から終末期までの様々な段階の患者さん、ご家族に対して、多角的な視点でそれぞれの苦痛の緩和や不安の軽減に向けたケアを行っています。患者さんの希望や思いに寄り添いながら、その人らしく、より良い生活が過ごせるように、一人ひとりにあった治療や生活を一緒に考え、支援しています。
また、院内を横断的に活動する上で、多職種と連携・協働を大切にしています。看護師や他職種からの相談に応じ、一緒にケアや対応を検討したり、調整を行います。
円滑で効果的なチーム医療の実践、質の高い緩和ケアや看護が提供できるよう体制整備や教育活動に携わっています。
関わる多くの方からの学びを大切に、日々自己研鑽し、役割を最大限に発揮できるよう努めます。
慢性疾患看護専門看護師
本吉 裕美子
私が目指しているのは、慢性の病気とともに生きる方が、ご自身の持っている力を発揮して、病気とうまくつきあっていきながら、その方らしい生活を送れるように支援できることです。
現在は外来を活動拠点として、主に糖尿病相談外来と処置室でケアに携わっています。患者さんやご家族お一人おひとりに、日々生活される中での体験や思いを聴きながら、その方らしい生活とは何か、また、その方が望んでいる生活を送れるようになるにはどうすればよいのかを、患者さんやご家族と一緒に考えながら、様々な職種と連携して支援しています。他に、相談や調整、スタッフの支援などの役割を通して、支援体制の充実に向けて活動していきたいと考えています。
急性重症患者看護専門看護師
鹿島 秀明
急性重症患者看護専門看護師は、6つの役割(実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究)を通して緊急度や重症度の高い患者に対して、集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるように支援します。
その支援は、患者へ早期回復・改善だけでなく、重篤化させない予防的なケアにも目を向けていきたいと思います。ICUという重症な患者が入院する場所だけではなく、一般病棟で入院した患者の異常の早期発見・アプローチに努めて、重篤化しない対策を考えたいと思います。
急性・重症看護専門看護師
森 まどか
病院の入り口の一つである救急センターでは、突然の事故や病気の悪化などで不安を抱える患者様が来院されます。私は、「迅速な対応、深い配慮、最善のケア」をモットーに、日々、患者様一人一人に合わせた質の高い看護を心がけています。救急から病棟、病棟から退院・地域のサイクルがスムーズに行えるよう支援していきます。迅速な救命技術とトリアージを駆使して、災害時も含めた急性期の医療ニーズに対応し、重症患者様への集中的な看護や、ご家族と医療チームの間で調整役を務め、最適な医療提供を目指しています。
皮膚・排泄ケア認定看護師
白石 厚美
皮膚・排泄ケア認定看護師(Wound,Ostomy and Continence Nursing)として、スキンケア、褥瘡や手術創、スキンテアなどの創傷ケア、ストーマケア、自己導尿指導や術後排便機能障害における排泄ケアなどに携わっています。これらにおける専門的なケアの実践、褥瘡対策チームや栄養サポートチームなどのチーム医療活動や、質の高いケアが継続できるよう看護職などに対して指導、地域の医療者との連携を図るなど、組織横断的に活動しています。
地域の患者様、患者様のご家族様が、入院中から退院後も安心して医療や看護を受け続けていただけるための一助となれるように活動していきたいと思います。
皮膚・排泄ケア認定看護師
三枝 美姫
今まで消化器外科病棟や外来で勤務し、ストーマ造設前後や手術後の治りにくい傷・スキン‐テアなどの創傷がある患者様、排便機能障害外来では便秘や便失禁の排便障害がある患者様と関わってきました。ストーマ保有患者様や排泄障害がある患者様は1人で悩んでいる方が多くおられることを知り、専門的な知識や技術を持ち今まで以上に患者様に寄り添える看護がしたいと思い、皮膚・排泄ケア認定看護師を目指しました。皮膚・排泄ケア認定看護師として、他職種と協働しながら患者様およびご家族がより良い生活を過ごすことができることを常に考えて活動していきたいと思います。
感染管理認定看護師
谷口 とおる
感染管理認定看護師は、感染制御の専門的知識を活かし、病院に関わるすべての人々への感染対策を行います。感染対策を推進するために、感染制御を専門とした医師、薬剤師、臨床検査技師など、他の医療職種とも連携し感染対策に関わる指導や相談、手順書の作成等を行っています。また、地域の医療機関や老人福祉施設等、行政機関などとも連携し、地域全体の感染防止などにも携わっています。
感染管理認定看護師
秋山 拓三
当院で2人目となる感染管理認定看護師です。
感染管理認定看護師は、患者さんや職員など病院に関わるすべての人を感染から守るという役割を担っています。感染制御チーム(ICT;Infection Control Team)と連携して医療関連感染の発生を防止し、発生した場合は適切な対応を取り被害を最小限に抑えるように取り組んでいます。日頃から院内の感染状況に目を光らせて、迅速に対応できるように日々努力しています。
感染管理認定看護師
石田 珠水
当院で3人目となる感染管理認定看護師・特定看護師です。感染管理認定看護師の役割は、当院に関わるすべての方々を感染から守り、安全で安心できる環境を提供することにあります。そのために感染制御チーム、抗菌薬適正使用支援チームの一員として医療関連感染の監視、対策や抗菌薬適正使用における支援活動を多職種と協働し活動しています。感染管理活動を通し、当院で質の高い医療が提供できるよう努めていきたいと思います。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
竹内 希世子
脳卒中は記憶の混乱や見当識障害、普段行っている生活行動が出来なくなるなどの症状が続くため、今後の生活再構築にも影響をきたしてしまいます。高次脳機能障害は見た目では分かりづらいことや、本人の自覚も乏しいことが多く、ちょっとした会話だけでは気付かないことが多い疾患です。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師は知識として症状を理解しているだけでなく、現れている症状を適切に判断することで高次脳機能障害が日常生活に及ぼす影響を予測し、リハビリテーションに関わるスタッフとの情報交換を行うことで統一したケアを目指しながら生活の再構築のためのケアを提供しながら活動しています。
糖尿病看護認定看護師
井之上 央子
糖尿病は生涯にわたりセルフケアを求められる疾患です。日々の生活の中で、ストレスを感じる出来事や環境の変化、合併症や他の病気にかかるなどにより糖尿病の管理が難しくなることは自然なことです。様々な環境で糖尿病とともに生きている方とそのご家族を継続支援するため、2014年より糖尿病療養相談外来を開設し療養相談を行っています。
また、当院には糖尿病ケアの水準を高めるため糖尿病ケア委員会が設置されています。認定看護師として、多職種と協働すること、病棟スタッフが安全で水準の高い糖尿病ケアを提供できるようスタッフを支援することにも力を入れ活動しています。
がん化学療法看護認定看護師
柴田 恭子
がん化学療法看護認定看護師の主な役割は、がん薬物療法の安全・確実な投与管理、治療に伴う副作用症状のセルフケア支援、そして患者さんやご家族が自分らしく生活できるよう支援することです。
多くのがん薬物療法を受けられる患者さんやご家族は、病気そのものの不安だけでなく副作用やそれに伴う外見の変化、生活の変化など、たくさんの不安や悩みを抱えておられます。そのため、私は少しでもその不安や悩みを軽減して治療が継続できること、そして患者さんやご家族がもつ力を最大限に引き出せる支援ができることを目指し、日々、外来化学療法室で実践しています。
また、院内の化学療法委員会を通して、より良い治療、看護につながるよう多職種で協働し活動しています。看護職などの指導、相談にも力を入れて、患者さんやご家族に「この病院でよかった」と信頼される看護につなげていきたいと思います。
がん化学療法看護認定看護師
新阜 美佳
当院で2人目となるがん化学療法看護認定看護師です。
普段は外来化学療法室でがん薬物療法における安全・安楽・確実な投与管理から、個々の患者さんに合わせたきめ細やかな副作用の症状マネジメント、セルフケア支援、心理的サポート、治療選択における意思決定支援など、がん薬物療法を受ける患者様に寄り添った支援を行っています。患者様の生活そのものも含めて身体的・社会的問題や不安・悩み等を一緒に解決出来る様、他職種とも協同しながらサポートしていきます。
また院内のがん薬物療法に関わる看護師教育や相談支援も行っています。
乳がん看護認定看護師
高岡 貴子
乳がんは年々増加し、発症のピークは家庭や職場で社会的役割を担う40~50歳代で、年間に約6万人(女性の約15人に1人)が罹患しています。
乳がん患者さんは告知で衝撃を受けている時期に、手術・薬物・放射線治療の選択と乳房再建術の有無や時期など、短期間に複数の選択をすることになります。乳がん患者の治療の意思決定と心理的サポートを乳がん看護認定看護師として支援しています。
その他にも治療の副作用、がん再発への不安、ボディイメージの変化、セクシャリティ、育児、仕事、家庭など多種多様な困難を抱える患者さんと家族に寄り添い、長期的に身体・心理・社会的サポートを提供していきたいと思います。
乳がん看護認定看護師
冨加見 由希
乳がんは、AYA世代〜超高齢者まで患者層が幅広く、10年に渡る治療やフォローアップを必要とします。乳がん治療は、手術・薬物・放射線治療を組み合わせた集学的治療が中心となりますが、ボディイメージの変容やセクシュアリティへの影響が生じることから、治療の継続には症状マネジメントやセルフケア支援が欠かせません。また、妊孕性温存や遺伝子検査などを含め、治療に関わる意思決定の連続であり、選択が困難な場面も少なくありません。そのため、価値観や家族背景を理解し、思いに寄り添うことが、乳がん看護認定看護師の役割であると考えます。
乳がん患者さまとご家族が、納得して治療を選択し、安心して通院できるように、多職種・医療スタッフと協働しながらサポートさせていただきます。
がん放射線療法看護認定看護師
片岡 忍
放射線治療は治療技術の進歩により、根治から症状緩和まで幅広く適応されるようになりました。しかし「どんなことをするのかよく分からない」「治療中に副作用が出た時にどう対応すれば良いか」「治療後はどのようになるのか」など治療経過のイメージがつかない事で不安になったり、悩んだりされる方も多いのではないでしょうか。
そのような様々な場面において患者様やご家族が、安心・安楽に治療を進めていくことが出来るように意思決定支援や副作用の対処方法などの身体面・精神面へのサポートを行います。また、放射線治療医や診療放射線技師など多職種連携や看護スタッフへの支援も行うことでより質の高い医療・看護が提供できるように努めています。
集中ケア認定看護師
豊田 大洋
集中ケア認定看護師の役割は、生命の危機的状態にある患者に対して病態の変化を予測した重篤化の予防や廃用症候群など二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施をしていくことです。そのためには、多職種連携のキーマンとなり、チーム全体で患者・家族に必要なケアを提供していきます。生命の危機的状態にある患者はICUに限らず病棟にもいるため、その相談窓口となれるように活動しています。