腫瘍内科の特徴

 現在我が国において、2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるといわれています。近年、治療効果の高くかつ副作用が比較的軽い、新規抗がん剤や分子標的治療薬が開発され、さらに免疫チェックポイント阻害剤の適応範囲も広がり、個々の患者さんのがんの特性に合わせた個別化治療により非常に大きな効果が期待されるようになりました。がん薬物療法(=化学療法)のレジメンが複雑化する中、化学療法を専門とする腫瘍内科の重要性が認識されています。当科では、固形腫瘍に対するエビデンスに基づいた化学療法および有害事象に対する支持治療によって、患者さんのQOLを維持しつつ、治療成績の向上を目指しています。

代表的な疾患

固形腫瘍および造血器悪性疾患に対し、標準的化学療法を中心とした治療を行っています。

悪性腫瘍に対する化学療法は主に

  • 根治切除あるいは縮小手術を目指した術前化学療法
  • 術後の再発予防のための補助化学療法
  • 根治切除不能の進行がんや再発症例に対する化学療法
  • 原発不明がんや軟部肉腫など、まれながんであるために標準的化学療法が確立されていない悪性腫瘍の治療

などがあります。

当科では、各診療科との連携のもと

  1. 入院での化学療法の初回導入
  2. 外来治療へと円滑に移行するための患者オリエンテーション
  3. 外来化学療法センターでの治療の実施と有害事象に対する対応
  4. 中心静脈用埋込型カテーテル(ポート)設置術と在宅化学療法の指導

など幅広いがん治療を行っています。
また、がん性疼痛などのがん関連症状に対しては、緩和ケアチームの一員として積極的に症状緩和に取り組みながら、患者さんが安心して日常生活が送れるよう、QOLを損なわないがん治療の継続を目指しています。

所属医師のご紹介

草間 俊行 部長
山梨医科大学 平成2年卒業
取得資格
(専門医・認定医等)
  • がん薬物療法専門医
  • 日本臨床腫瘍学会指導医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本外科学会認定登録医
  • 日本がん治療認定医
所属学会
  • 日本臨床腫瘍学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本外科学会

診療実績

 消化器領域を中心とした固形腫瘍全般、原発不明がんおよび難治性腫瘍を対象としています。その中でも特に、進行・再発した結腸・直腸がんに対する化学療法は近年劇的な変化を遂げています。腫瘍のタイプに合わせた抗がん剤と血管新生阻害剤あるいは分子標的治療薬(図1)との併用による個別化治療によって、大幅な生存期間の延長が期待されています。残念ながら標準治療が無効となった場合、あるいは標準治療が終了の見込みとなった場合には、がん遺伝子パネル検査を積極的に推奨し、がんゲノム医療等により治療成績の向上と患者さんのQ O Lの改善に務めています。

図1. 分子標的治療薬(シグナル伝達阻害剤)

がん診療センター / がんゲノム診療科

腫瘍内科の症例実績については、下記のPDFファイルをご覧ください。