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ウイルス性肝炎の種類

ウィルス性肝炎にはウィルスの種類よってA、B、C、D、Eの5種類があります。

このうち、経口感染で急性一過性に経過し慢性化しないのはA型肝炎とE型肝炎であり、A型は生の魚介類(特に生牡蠣などの貝類)、E型は鹿、熊、猪、豚の生肉を食べることで感染します。多くは一過性の肝炎で治癒しますが、経過中劇症化する症例もあり、注意が必要です。

慢性肝炎になりやすいB・C型

B型とC型は血液を介して(輸血、注射の回し打ち等)感染する肝炎で、古くは血清肝炎とも呼ばれています。B型肝炎とC型肝炎は慢性化が問題で慢性肝炎を放置すれば将来、肝硬変に移行し肝癌の発生率も高まることが大きな問題です。
B型肝炎は成人で輸血や性交渉などにより感染し急性肝炎となる場合と母親から子へと感染し、子がウィルスキャリアーの状態となる場合があり、キャリアー症例の一部には一定の年月後に肝炎が出現し慢性肝炎の状態となることがあります。

B型肝炎について

成人でB型肝炎に感染した場合、多くは一過性急性肝炎で経過しますが一部のウィルスでは劇症化することもあり、欧米からのウィルスでは慢性化する率が高いことが分かってきました。
慢性B型肝炎の治療は若年者はインターフェロンで、中高年者は核酸アナログという薬で治療することがガイドラインで推奨されています。
このような治療で体内のB型肝炎ウィルスを激減させ(体内からB型肝炎ウィルスを完全排除できるわけではありません)、肝細胞の炎症を抑えることができるようになりました。この状態を続けることで肝硬変への移行を遅らせ、肝癌の発生も抑えることができると期待されます。
しかし、ウィルスを完全に除去したわけではないため、長期に治療が必要なこと、治療に抵抗するウィルスの出現(多くは肝炎が再燃します)や肝癌の心配がなくなるわけではないことなどが問題となります。

C型肝炎について

C型肝炎は感染者のほぼ70%が慢性肝炎となり、未治療の多くは肝硬変・肝癌に移行する疾患であり、現在もおよそ200万人のHCV陽性患者が存在すると推定されています。
近年、ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン併用(ペグ・リバ療法)48週治療が標準治療となり、40~50%の症例でウィルス排除が期待できるようになりました。
ジェノタイプ1型でウィルス量の多い症例(日本人の約70%)は難治であり、そのうちでも特にペグ・リバ療法に難治となるウィルス側の条件、宿主側の条件がわかってきました。

治療のポイントについて
また、治療面のポイントは治療期間中、副作用によるインターフェロンとリバビリンの減量を避け、できる限り充分量を投与することと治療開始からできるだけ早期にウィルス量を減少させ、治療期間中、ウィルス量が測定感度以下の期間を長く保つことが重要であることがわかってきました。
そこで、比較的ウィルス減少の遅い症例でも治療期間を延長することで治療効果の上乗せが期待され、完治が見込まれる症例にペグ・リバ療法72週までの延長が認められるようになりましたが、それでも難治性の患者さんがおられます。

近い将来、期待できる治療薬としてはウィルスのプロテアーゼという酵素の働きを妨げる薬が挙げられます。臨床治験ではペグ・リバにプロテアーゼ阻害剤を加えることで難治例に対してもかなり良い成績が示されています。

B・C型とも『肝炎対策基本法』で経済的負担減

B型肝炎、C型肝炎ともに肝炎対策基本法が制定され、公的補助の導入により経済的に肝炎の治療が受けやすくなりましたが、まだ未検査、未治療の多くの方々がおられると考えられますので血液検査だけでも受けていただきたいと思います。

神鋼記念病院では上記のような最新の治療を導入するとともに、慢性B型肝炎や慢性C型肝炎の患者さん個々の病態に応じた最先端のテーラーメイド治療を受けていただけるよう努めてまいります。

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