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胆石とは?

胆石は肝臓で産生された胆汁を元に胆道内につくられた結石で、存在部位により胆嚢結石と胆管結石に分類され、石の主な構成成分からコレステロール結石とビリルビン(+カルシウム)結石に分けられます。
この病気は最近、食生活が欧米化したことや高齢化などで増加傾向にあります。

胆石の症状

結石の存在部位により異なります。

胆管結石写真

1.胆嚢結石症

胆石発作といって結石が胆嚢の頚部にはまり込んだ場合に起きる症状が特徴です。
食後や夜間に突然生じるみぞおち、右脇腹の激痛で、右肩や胸部、背部に抜けていくことがあり、数十分~数時間後には消失するのが典型的です。脂肪の多い食や過食がきっかけとなりやすく、夕食後の夜間に発症する方が多いです。

2.胆管結石症

血液検査や検診の腹部超音波検査などで偶然発見される無症状例もありますが、痛み以外に、細菌による胆管炎を合併すると、悪寒を伴う発熱・黄疸(皮膚・眼球の黄染)が認められます。
さらに進行すると意識障害・ショックが加わり、重篤な状態で急性閉塞性化膿性胆管炎と呼ばれ、細菌感染が全身におよぶ敗血症、多臓器不全症候群に陥ることがあるので緊急対応を要します。

診断

先に述べた症状で夜間に救急受診されることが多く、まず血液検査で肝機能異常や炎症の高値を認めます。
さらに画像検査(腹部超音波や腹部CT)で結石の存在が確認され、診断されます。
加えてMRCP(膵管および胆管を描出するMRI)、ERCP(膵管および胆管を直接造影する内視鏡検査)で結石の大きさや部位などの精査が行われます。

治療

結石の存在部位により異なります。

1.胆嚢結石症

当院では胆嚢結石症及びそれに伴う慢性胆嚢炎に対し、積極的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を適応のある患者さんに対して行っています。
症状が落ち着いており大きな合併疾患の無い患者さんの場合、手術前日に入院していただき、術後2日目に退院という3泊4日入院での治療が可能となっています。

急性胆嚢炎に対しては診療ガイドラインに基づき、緊急入院治療となります。
外科と連携しながら、緊急手術、胆道ドレナージ術を含めた全身点滴管理を行っています。検診などで見つかる無症状の場合は、その後に症状が出る可能性もありますが、多くは何も起こらないので経過観察とすることもあります。

2.胆管結石症

総胆管結石症も無症状で見つかることもありますが、胆嚢結石と異なり、いずれ症状が出現し重篤化する率が高いため治療対象となります。
総胆管結石症およびそれに伴う急性胆管炎に対しても診療ガイドラインに基づいた治療を行っています。症状のある患者さんでは、急性閉塞性化膿性胆管炎に陥る前に、可及的速やかに内視鏡的胆道ドレナージ(ERCP)を、内視鏡的アプローチが困難な患者さんでは経皮経肝的胆道ドレナージ(PTCD)を施行しています。同時にあるいは炎症が改善してから、内視鏡的に乳頭括約筋切開術(あるいは乳頭括約筋バルーン拡張術)を施行し採石を行っています。

大きく多数の総胆管結石でもほとんどの場合は内視鏡的に砕石し、除石することが可能です。しかし内視鏡的治療が困難と判断された場合は、尿管結石の治療に使用する、ESWL(体外衝撃波)を併用し治療も行っています。
また胆嚢結石も合併している患者さんでは、開腹になりますが両結石を一度に治療することもあります。

内視鏡的胆道ドレナージ(ERCP)の施行
内視鏡的採石術の施行

当院では救急で来られた患者さんから、検診などで見つかった無症状の患者さんまで診療しており、その患者さんに最良と考えられる治療を、外科の先生と相談し、迅速に提供していきたいと考えています。

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