整形外科 / 上肢(肩・肘・手)外科

■目次
 
  手・肘

 MRIや関節鏡技術の進歩により、最近まで「五十肩」の一言で説明されていた肩関節痛も腱板断裂,関節唇損傷、上腕二頭筋腱の炎症など細かい評価に基づいた診断の上、内視鏡を用いてより高度な治療が可能になってきました。代表的な術式は 以下の通りです。

  • ARCR:鏡視下腱板縫合術(図1
  • ASCR:鏡視下前上方関節包再建 
  • ARCA:鏡視下腱板前進術(図2
  • AS-Bankart:鏡視下前方制動術
  • SLAP(関節唇)損傷鏡視下再建術
  • 鏡視下授動術、腱移行術

 また通常の人工肩関節(TSA)では、良好な成績が得られ難かった腱板断裂性関節症、変形性肩関節症や4-part上腕骨近位端骨折に対して、2014年より本邦で認可されているRSA(反転型人工肩関節)を使用し、安定した成績を得ています(図3)。肩人工関節に際し、術前CT画像をもとに3Dシミュレーション(Stryker社 Blueprint使用)を行い、正確な設置を心がけています(図4)。
 2023年より、エコーガイド下での神経ブロックを用いた日帰り手術でのSilent manipulation(非観血的受動術)などを行っています。多種多様な治療方法が学会レベルでも討論模索される中、あくまでも患者さんの希望に沿う形での診療を心がけています。
 肩の診療においては専門用語も多く、患者さんには分かりにくいことも多いかと思います。補足として「肩の治療について」ページもご参照ください。

肩腱板断裂症例
【図1】肩腱板断裂症例
(左)矢印の部分で棘上筋が断裂しており内方に引き込まれています。(右)関節鏡を用いて上腕骨にしっかりと固定します
肩腱板大断裂症例
【図2】肩腱板大断裂症例
(左)腱板断端が、矢印のように強く内方化し、骨頭が上方に上がっています。(中)内視鏡で筋肉を肩甲骨から剥がし引き出します。(右)骨頭にしっかりと縫合します。
解剖学的人工肩関節置換術
【図3】(左)解剖学的人工肩関節置換術(2番目)骨脆弱性による4-part骨折(3番目)反転型人工肩関節/骨折用ステム使用(左)術後挙上動作
術前シミュレーション
【図4】術前シミュレーションにてインプラントサイズ設置位置の検討を行っています。

手・肘

 当院は2023年より日本手外科学会の定める研修施設に認定されました。当院では形成外科やリウマチ科など他科との連携を高め、地域のクリニックや神戸市民病院機構(中央市民病院、西市民病院、西神戸医療センター)との連携を通じて、より多くの患者さんに満足度の高い治療を提供できるよう努めてまいります。代表的疾患は以下の通りです。

手根管症候群

 基本的に小侵襲手術を目指し、内視鏡を用いて小皮切(2箇所)の手技(局所麻酔)で日帰り手術を行っています。(図5) 重症な症例に対しては、腱移行による対立再建を行い、親指による対立動作の力を早く回復させることも可能です。

鏡視下手根管開放術
【図5】鏡視下手根管開放術
2箇所の小皮切を用い、関節鏡を使って鏡視と直視を併用し、慎重に掌側の靭帯や腱膜組織を緩めて、神経への圧迫を解除します。

橈骨遠位端骨折

 その多くは、高齢女性の転倒による骨折です。骨粗鬆症により骨自体が薄く脆くなっていることが原因です。転位が大きく、ギブス固定による治療では後遺症が残る可能性が高い場合には、できるだけ早くプレートを用いた整復固定を行い、早期の社会復帰を目指しています。重要なことは、骨折治療とともに骨粗鬆症治療介入を行い、将来起こり得る(二次性)骨折を予防することです。ここでも地域のクリニックの先生方との連携を大切にしています。橈骨遠位端のみならず、手の舟状骨、手指の骨折、靭帯損傷もスポーツなどでしばしば見られます。手術室の都合にもよりますが、できるだけ受診当日に手術を受けていただけるよう、細かいインプラントや専用の機械類も常備しています(図6)。

橈骨遠位端骨折
【図6】左:橈骨遠位端骨折 後遺症が残らないよう、可能な限り元に近い形に整復固定し、インプラントを用いて固定を行います。
右図:小さい指の骨に対しても整復保持が困難な場合は、小さいインプラントを用いて固定し、その後リハビリを行います。

上腕骨外上顆炎(テニス肘)

 肘関節外側の痛みで、最も有名な疾患です。男女問わず、中年以降よく起こります。その症状の多くは、湿布やサポーターなどを使用して短期間で改善しますが、中には1年以上痛みが続き、靱帯の緩みを合併して肘の不安定性が認められることがあります。また、関節内に発達した膜状の組織が痛みの原因であることがあり鑑別が難しいこともあります(図7)。強い痛みが長引く場合には、内視鏡による関節内のデブリードマン(クリーニング)や靱帯の再建を行っています。
 他CM関節症、TFCC損傷、手関節ガングリオン、リウマチによる関節炎など、 個々の症例に対して相談の上、より適切な方法で治療に当たっています。手(指)関節鏡を用いた小侵襲手術を主に行っています。他、Dupuytren(デュプイトラン)拘縮、ばね指、へバーデン結節(粘液嚢腫)などさまざまな症例について、近隣のクリニックの先生方と連携のうえ治療しています。

肘関節鏡
【図7】肘関節鏡
直径3mm程度のシェーバーを用いて、引っ掛かりによる痛みの原因であった滑膜(Synovial fringe)を切除しています。

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