脳神経内科 / 末梢神経・筋疾患

しびれや筋力低下の原因が、末梢神経、神経と筋肉のつなぎ目、筋肉のどこにあるのかを専門的に評価します。筋電図検査を中心に、院内各科・多職種や院外の専門施設と連携して診断と治療を行います。

緊急時のご案内

急速な悪化は救急受診を

数日以内に手足の力が急に入りにくくなった、息苦しい、飲み込みにくい、声が出しにくいなどの症状がある場合は、予約外来を待たず救急医療機関を受診してください。

対象となる主な病気

  • 末梢神経|糖尿病性ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)、血管炎性ニューロパチー、絞扼性神経障害など
  • 神経と筋肉のつなぎ目|重症筋無力症(MG)、ランバート・イートン筋無力症候群など
  • 筋肉|炎症性筋疾患、遺伝性筋疾患、薬剤性・代謝性筋疾患など
  • 運動神経|筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン疾患

主な症状

  • 手足のしびれ、痛み、感覚の鈍さ
  • 階段を上りにくい、立ち上がりにくい、物を持ち上げにくい
  • 筋肉がやせてきた、つりやすい
  • まぶたが下がる、物が二重に見える、疲れると力が入りにくい
  • ろれつが回りにくい、飲み込みにくい、息苦しい
  • 手足の症状に加えて、発熱、発疹、関節痛などがある

診断と専門的な検査

症状の分布と経過を詳しく伺い、筋力、感覚、腱反射、筋肉の状態を診察します。血液検査、神経伝導検査、針筋電図、反復刺激検査、MRI、髄液検査などを病状に応じて組み合わせます。

神経伝導検査

皮膚の上から末梢神経を電気で刺激し、刺激が伝わる速さ、反応の大きさ、伝わりにくい部位を測定します。神経を包む髄鞘の障害か、神経線維そのものの障害かを見分け、手根管症候群、糖尿病性ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、CIDPなどの診断や重症度評価に役立てます。刺激時に一時的な痛みを感じますが、体内に電気が残る検査ではありません。

針筋電図・反復刺激検査

針筋電図では細い電極を筋肉に入れ、安静時と力を入れた時の電気活動を記録します。末梢神経障害、運動ニューロン疾患、炎症性・遺伝性筋疾患などを見分ける手がかりになります。反復刺激検査では、重症筋無力症(MG)など神経と筋肉のつなぎ目の異常を評価します。毎週水曜日の午後に予定検査を行う筋電図外来を設け、緊急性が高い場合は曜日を問わず対応します。

神経生検・筋生検

通常の検査だけでは診断が難しく、治療方針を決めるために組織検査が必要な場合があります。脳神経内科で検査の必要性と採取部位を検討し、神経生検や筋生検は主に形成外科へ依頼します。採取した組織については、末梢神経生検は国立病院機構南京都病院、筋生検・筋病理診断は国立精神・神経医療研究センター(NCNP)などの専門施設と連携して評価します。

院内各科・多職種との連携

末梢神経・筋疾患は、神経や筋肉だけでなく、免疫、呼吸、代謝、骨・関節など全身の病気と関係することがあります。当院では、病気の原因や症状に応じて院内各科・多職種と連携し、診断から治療、リハビリテーションまで一貫して対応します。

膠原病リウマチ科との連携

血管炎や膠原病に伴う末梢神経障害、炎症性筋疾患では、神経症状だけでなく全身の評価と免疫治療が必要です。膠原病リウマチ科と連携し、血液検査や画像検査などを行い、治療方針を検討します。

形成外科との連携

診断のために神経生検や筋生検が必要な場合は、脳神経内科で検査の必要性と採取部位を検討し、主に形成外科へ生検を依頼します。採取した組織は、必要に応じて院外の専門施設と連携して詳しく評価します。

整形外科との連携

しびれや筋力低下は、末梢神経疾患だけでなく、頚椎・腰椎の病気や手根管症候群などでも起こります。神経診察、筋電図、画像検査の結果から外科的治療が必要と考えられる場合は、整形外科と連携します。

呼吸器内科・呼吸器外科との連携

重症筋無力症や筋疾患では、呼吸に必要な筋肉の力が低下することがあります。呼吸機能の評価、呼吸器感染症の治療、呼吸を補助する治療などについて、呼吸器内科と連携します。胸腺腫を伴う重症筋無力症では、呼吸器外科と連携して手術の適応を検討し、病状に応じてロボット支援手術にも対応します。

糖尿病・代謝内科との連携

糖尿病は末梢神経障害の代表的な原因の一つです。また、甲状腺疾患や電解質異常などが筋力低下の原因になることもあります。糖尿病や代謝・内分泌疾患の治療が必要な場合は、糖尿病・代謝内科と連携します。

リハビリテーション部門との連携

筋力低下やしびれによって、歩行、手の動作、食事、着替えなどが難しくなることがあります。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などと連携し、歩行、上肢機能、日常生活動作、嚥下・呼吸機能の評価やリハビリテーションを行います。

治療

ギラン・バレー症候群(GBS)

ギラン・バレー症候群は、感染症の後などに、数日から数週間で足から手へ筋力低下やしびれが広がる急性の末梢神経疾患です。顔面、嚥下、呼吸に関わる筋肉や、血圧・脈拍を調整する自律神経にも障害が及ぶことがあります。呼吸困難を自覚する前に呼吸筋力が低下する場合があり、報告では約3割が人工呼吸管理を必要とします。疑われる場合は外来予約を待たず、入院での観察と治療が必要です。

当院では入院のうえ、筋力、嚥下、呼吸機能、心電図、血圧・脈拍などを継続して評価し、適応があれば経静脈的免疫グロブリン療法(IVIg)を行います。標準的な免疫治療はIVIgまたは血漿浄化療法で、ステロイド単独は推奨されません。血漿浄化療法や高度な集中治療が必要な場合は、病状に応じて対応可能な医療機関と連携します。急性期から合併症を予防し、安全に配慮しながらリハビリテーションを進めます。

CIDPなどの末梢神経疾患

CIDPでは、免疫グロブリン療法、ステロイド治療などを病状に応じて選択します。治療が安定した方では、皮下に免疫グロブリンを投与するSCIgによる外来維持療法も検討でき、通院負担を抑えながら治療を続けられる場合があります。

重症筋無力症(MG)

症状と病型に応じて、症状を改善する薬、ステロイドや免疫抑制薬、免疫グロブリン療法、分子標的薬などを組み合わせます。外来で継続できる治療選択肢も増えており、日常生活への影響と安全性を確認しながら治療を調整します。

筋疾患

炎症性筋疾患では膠原病リウマチ科と協力して免疫治療を行います。遺伝性・代謝性筋疾患などでは、診断結果に応じた治療、リハビリテーション、呼吸・嚥下の評価、療養支援を検討します。

受診を希望される方へ

当科外来は完全予約制です。現在当院に通院していない方は、まずかかりつけ医にご相談いただき、紹介状をご準備のうえ、医療機関から地域医療連携室を通じて予約をお取りください。

当院の他科に通院中の方は、現在の担当医にご相談ください。必要に応じて院内で脳神経内科の受診を調整します。