脳神経内科 / 頭痛・片頭痛

頭痛専門医・指導医のもと、危険な病気による頭痛を見逃さないことと、繰り返す頭痛による生活への支障を減らすことの両方を重視して診療します。

緊急時のご案内

このような頭痛は救急受診を

突然始まった激しい頭痛、意識障害、麻痺、言葉の異常、けいれん、発熱や繰り返す嘔吐を伴う頭痛は、予約外来を待たず救急医療機関を受診してください。

頭痛には大きく2つの種類があります

頭痛そのものが病気である「一次性頭痛」

片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。画像検査で異常が見つからなくても、頭痛を繰り返すことで仕事、学校、家事、育児などに大きな支障が出ることがあります。

別の病気が原因となる「二次性頭痛」

くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎・脳炎のほか、脳静脈洞血栓症、頚動脈・椎骨動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)、巨細胞性動脈炎、低髄液圧症候群などが原因となる頭痛です。急性緑内障や副鼻腔炎など、脳以外の病気による頭痛もあります。突然発症、発熱、意識障害、けいれん、麻痺、視力低下などを伴う場合は緊急の検査や治療が必要です。

頭痛は「我慢する病気」ではありません

日本の全国調査では、片頭痛の有病率は8.4%で、およそ12人に1人に相当します。それにもかかわらず、片頭痛のある人の69.4%は頭痛で医療機関を受診したことがありませんでした。「頭痛くらいで」と我慢して、市販薬だけでしのいでいる方が少なくありません。

日本の片頭痛患者を対象としたOVERCOME(Japan)第2回調査では、働く人の平均で、欠勤による損失(アブセンティーズム)が5.2%、出勤していても能率が低下する損失(プレゼンティーズム)が32.9%、両者を合わせた労働生産性損失が35.0%でした。休んだ日だけでなく、「出勤したものの普段どおり働けなかった時間」も治療すべき負担です。

脳神経外科と連携して危険な頭痛を見分けます

当院では脳神経内科と脳神経外科が連携し、診察とCT・MRI・MRAなどを組み合わせて二次性頭痛を評価します。くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、脳動脈瘤など、手術やカテーテル治療が必要な場合は脳神経外科につなぎます。救急性が高い場合は救急外来を窓口として診療します。

診断と検査

頭痛の起こり方、続く時間、伴う症状、服用した薬、生活への影響を詳しく伺い、神経診察を行います。これまでにない頭痛、性質が変わった頭痛、神経症状を伴う場合などは、MRIやCTなどの画像検査を検討します。

片頭痛の主な特徴

  • 動くと悪化する、脈打つような頭痛がある
  • 吐き気を伴う、光・音・においがつらい
  • 頭痛の前に視界がちらつくなどの前兆がある
  • 月経、睡眠不足、空腹、天候の変化などで起こりやすい
  • 頭痛のために仕事、学校、家事を休む、予定を変更することがある

症状には個人差があり、両側の頭痛や脈打たない頭痛でも片頭痛のことがあります。頭痛の回数だけでなく、生活にどの程度影響しているかも治療を考える重要な手がかりです。

片頭痛の治療

発作が起きたときの治療

片頭痛に特化した代表的な発作時治療薬がトリプタン製剤です。片頭痛発作に関わるセロトニン5-HT1B/1D受容体に作用し、頭痛だけでなく吐き気、光・音過敏の改善も期待できます。中等度以上の発作、または市販薬やNSAIDsで十分な効果が得られない場合に用い、頭痛が軽いうちなど発作早期の服用が効果的です。複数の種類や剤形があるため、効き方や副作用を確認して一人ひとりに合う薬を選びます。

発作の強さに応じて、アセトアミノフェン、NSAIDs、制吐薬なども使います。経口CGRP受容体拮抗薬のナルティークOD錠は、発作時治療と発症抑制の両方に用いることができる新しい選択肢です。トリプタンは心臓・脳血管の病気などで使用できない場合があります。また、トリプタンを月10日以上、単純鎮痛薬を月15日以上使う状態が続くと、薬剤の使用過多による頭痛を起こすことがあるため、使用日数も確認します。

発作を減らす予防治療

生活に支障をきたす頭痛が月3日以上ある、発作時の薬だけでは十分に戻れない、発作時薬の使用が増えている場合は、予防治療を積極的に検討します。月4日の片頭痛は年間約48日に相当します。月に2日減るだけでも年間では約24日となり、仕事、家事、育児、学業や予定を守れる時間が大きく変わります。

予防治療の目標は、頭痛を完全にゼロにすることだけではありません。発作回数、痛みの強さと持続時間、発作時薬を使う日数を減らし、発作が起きても普段の生活に早く戻れる状態を目指します。ロメリジン、プロプラノロール、バルプロ酸、アミトリプチリンなどの内服薬から、持病や妊娠の可能性、副作用を考慮して選択します。

CGRPを標的とした新しい治療

CGRPは片頭痛の発症に深く関わる神経ペプチドです。CGRP関連抗体薬(アジョビ®、エムガルティ®、アイモビーク®)は、その働きを選択的に抑えるよう開発された注射薬で、従来薬とは異なり、片頭痛の病態そのものを標的にした予防治療です。

日本人を対象とした無作為化比較試験では、治療期間中の月間片頭痛日数はCGRP関連抗体薬で平均3.4~4.0日減少し、プラセボでは0.6~2.0日の減少でした。全員に同じ効果が出るわけではありませんが、国内の実臨床研究でも、3~6か月で片頭痛日数が50%以上減る患者さんが約半数以上報告されています。原則として約3か月で効果を評価し、注射部位反応、便秘、費用なども含めて継続を相談します。

当院の頭痛診療

日本頭痛学会専門医・指導医が在籍し、二次性頭痛の除外から、発作時治療、予防治療、薬剤の使用過多による頭痛への対応まで行います。頭痛ダイアリーに加え、HIT-6やMIDASなどの指標で、頭痛日数だけでなく生活・仕事への支障も評価します。

当院が目指すのは、単に「頭痛の日を少し減らす」ことではありません。頭痛がある人も、頭痛がない人と同じように、仕事や学校へ行き、家族との時間や予定をあきらめずに暮らせることを目標に、一緒に治療を組み立てます。

受診を希望される方へ

当科外来は完全予約制です。現在当院に通院していない方は、まずかかりつけ医にご相談いただき、紹介状をご準備のうえ、医療機関から地域医療連携室を通じて予約をお取りください。

当院の他科に通院中の方は、現在の担当医にご相談ください。必要に応じて院内で脳神経内科の受診を調整します。