泌尿器科 / ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術

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da Vinci Surgical System ロボット支援手術を導入しました

当院では2015年よりロボット支援手術da Vinci Surgical System(ダ・ヴィンチ・サージカルシステム、ダ・ヴィンチ外科手術システム)を導入いたしました。これは米国インテュイティヴ・サージカル社が開発したマスタースレイブ型内視鏡下手術用の医療用ロボットです。このシステムによるロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を2015年11月26日より開始しております。

当院泌尿器科では早くから前立腺癌に対して開放手術である根治的前立腺全摘除術を数多く行ってきました。しかも他の病院に先駆けてロボット支援手術で採用している順行性の術式を行ってまいりました。このことにより男性機能保持や尿失禁防止などの術後合併症の低減に対しても良好な成績を上げてまいりました。

ただ、時代は低侵襲手術の時代に入っており腹腔鏡手術やロボット支援手術で行える疾患に対しては積極的に低侵襲手術を行うようになってきています。当院でも腎など上部尿路、副腎疾患に対しては90%以上を腹腔鏡手術で行っています。

当院では、今までの開放手術での豊富な経験を活かし、ロボット支援手術に取り組みたいと考えています。スタートは遅れましたが、決して他院に引けを取らない手術成績を残せるものと自負しております。当院当科の伝統に恥じない診療を提供し続けていくことに決意を新たにしております。現在唯一保険診療が可能な前立腺癌のロボット支援手術で症例を重ね、近々承認される見込みの腎臓癌に対する腎部分切除術も保険収載後には積極的に取り組みたいと考えています。

ロボット手術とは?

前立腺癌に対する根治手術に関しては、近年は国内でもダビンチ手術が主流となりつつあると言えます。2015年初時点で、3,100台以上のda Vinci サージカルシステムが全世界の病院に設置されています。現在、日本では215台以上のda Vinci サージカルシステムが導入されており世界第2位の台数が導入されています。
この器械は元々1990年代にアメリカ陸軍が軍用に開発を依頼したものであると言われています。遠隔操作で戦場の負傷者に対して必要な手術を行うことが目的とされました。その後民間で開発が続けられ、1999年に完成。2000年7月にアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認されました。

日本では2000年3月に慶應義塾大学病院にアジアで初めて導入、その後、2009年に厚生労働省薬事・食品衛生審議会で国内の製造販売が承認されました。2012年4月1日より前立腺癌の全摘手術のみ保険適用となりました。(2015年末時点でも前立腺癌全摘術のみが適応)。

ロボットといっても、ロボット自体が自発的な操作をするわけではありません。術者がダビンチを介して手術することにより、より鮮明な画像でより緻密な手術ができる特徴を有しています。
da Vinci surgical systemは、surgeon consoleと呼ばれる操作部とpatient consoleと呼ばれる腹腔内観察用3Dカメラと手術用鉗子の装置一式、助手と看護師のためのモニターとコンピュータ制御システムが収納されたvision cartの3つの部分から構成されます。
前立腺癌手術では、腹部に5ないし6か所の穴をあけ、そこから3Dカメラと手術用鉗子を挿入し、surgeon consoleに座った術者が3D画像を見ながら手術をすることになります。
全世界でここまで普及した理由は、安全性のみならず、ダビンチによるロボット手術は出血量を極力抑え輸血が必要な可能性の大幅な減少、術後の疼痛を軽減し、機能温存の向上や合併症リスクを大幅に回避できるなど、さまざまなメリットが評価されているからです。

前立腺癌の手術適応

前立腺癌の手術はあくまで限局性前立腺癌(早期癌)の根治目的です。
前立腺癌の手術適応は次の通りですが、その他の様々な条件で実際の治療が決定されます。

  • 限局性前立腺癌(転移なし)
  • 75歳以下が一応基準
  • 全身麻酔に耐えられる全身状態
  • 下腹部の手術既往とその程度(無いかあっても軽度)

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