皮膚科 / 代表的な疾患 / 疥癬

皮膚科TOPへ戻る

病型と症状

疥癬の病型には通常疥癬と角化型疥癬があります。寄生するダニの種類はどちらも同じヒゼンダニですが、寄生数に違いがあります。通常疥癬では重症の場合でも1人の患者さんに1000匹程度ですが、角化型疥癬では100万~200万匹、時に500万~1000万匹ともいわれる程の多数のヒゼンダニが寄生します。宿主が健康体であれば通常疥癬になりますが、免疫力が低下している場合には角化型疥癬になります。
また、通常疥癬では感染力はそれほど強くないですが、角化型疥癬ではきわめて強い感染力を有します。そのため、角化型疥癬では個室隔離などが必要になります。なお、発症頻度は通常疥癬が大多数で、角化型疥癬はまれです。

感染経路

通常疥癬からの感染

直接経路:
長時間、直接肌と肌が接触することによって感染します。短い時間触れるぐらいなら感染の心配はありません。

間接経路:
まれに通常疥癬の患者さんが使用した寝具(布団やベッド、シーツ)などを替えずに、すぐに他の人が使用することによって感染することもあります。

角化型疥癬からの感染

短時間の接触で感染します。また、衣類や寝具を介しても簡単に感染します。角化型疥癬では角層内に多数のダニを含んでおり、皮膚から剥がれ落ちた角層に接触するだけでも感染します。

潜伏期間

通常疥癬からの感染の場合は、約1~2ヵ月の潜伏期間(高齢者では数ヵ月のこともあります)をおいて発症します。角化型疥癬からの感染の場合は、4~5日で発症することもあります。

治療

治療にはヒゼンダニを殺すことを目的とした塗り薬または飲み薬が使われます。通常疥癬では首から下の全身に、角化型疥癬では顔も含めて全身にくまなく塗る必要があります。特に手や足、外陰部には念入りに塗ってください。かゆみに対してはかゆみ止めのお薬が使われます。

ご家族が疥癬と診断された時の注意事項

治療を開始すれば感染力はほとんどなくなるので、むしろ、それまでに感染の機会があった人への予防的治療が問題ですが、次のことに注意してください。

  • 長い時間、肌と肌が直接ふれないようにしてください
  • 同室で布団を並べて寝ないでください
  • 入浴時にタオルなど肌に直接ふれるものを一緒に使用しないでください
  • 患者さんに接した後はきちんと手を洗うようにしてください

皮膚科TOPへ戻る