皮膚科 / 代表的な疾患 / 脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎とは?
毛髪の生え際や額、耳の穴や鼻の周辺の皮膚、特に小鼻と唇の両端を結ぶ線上にできるしわ付近が赤くなり、脂っぽい皮がぽろぽろとむけて”こふきいも”状態になったり、頭皮が赤みを帯びて、多量の細かいフケが出て、痒みが強く感じられる場合には、脂漏性皮膚炎の可能性が疑われます。
赤みや痒みなどの炎症症状がなく、フケだけが認められる場合には『ふけ症』といいます。従って、脂漏性皮膚炎とふけ症は兄弟のような病気です。
脂漏性皮膚炎は、脂腺の分布が多い部位で、皮脂の分泌が活発な時期に好発します。
皮膚科を受診する患者さんの2~3%が脂漏性皮膚炎といわれており、決して珍しい病気ではありません。
男女別では男性ホルモン(アンドロジェン)が皮脂の分泌を活発にする働きがあることから、男性の皮脂の分泌量は女性の2~3倍も多いことが知られており、脂漏性皮膚炎は男性に多い病気なのです。
タイプと原因
脂漏性皮膚炎は、発症時期により成人型と乳児型があります。
成人の脂漏性皮膚炎は、皮脂の代謝異常、ホルモン異常、ビタミン欠乏など種々の原因が考えられていますが、よくわかっていません。
成人の脂漏性皮膚炎のフケにはカビの一種で皮脂を栄養源とする癜風菌が異常に繁殖してみられることがあります。癜風菌は健康な人の皮膚のどこにでもいる真菌(カビ)の一種ですので、脂漏性皮膚炎が人にうつったり、人にうつされたりする恐れはありません。
一方、乳児脂漏性皮膚炎は、乳児の2~5%にみられる日常的な疾患で、生後2~3週から出現し、4~8カ月までに自然に治ります。
脂漏性皮膚炎の治療方法
成人の脂漏性皮膚炎に対する治療として、皮膚の炎症をしずめるための副腎皮質ステロイド外用薬や癜風菌の繁殖を抑えるための抗真菌外用薬などが使用されます。
その他、かゆみをおさえるための抗アレルギー薬や、また、脂質代謝を整え、皮膚の新陳代謝をうながすためのビタミンB2、ビタミンB6などの経口薬が投与される場合もあります。
脂漏性皮膚炎にならないために
- 脂漏性皮膚炎が他の人にうつる心配はありません。
- ストレスは免疫抵抗力を弱めますので、十分に心身の休息を取るように心がけましょう。
- 身体の清潔を保つため、こまめに洗顔し、また毎日入浴して洗髪するように心がけましょう。
頭部の脂漏性皮膚炎にはフケ取りシャンプーが効果的な場合もあります。 - 洗う時には爪を立てたり、ごしごしと皮膚をこすらないでやさしく洗うように努めましょう。
- 皮膚の分泌を活発にするような脂肪分の多い食事やアルコール、香辛料の摂取はできるだけ控えましょう。
- くすりは医師の指示に従って、正しく根気よく使いましょう。
- 脂肪分の多い食事を控え、野菜の多い食生活を心がけましょう。肥満気味の方は減量すると治ることがあります。