消化器外科 / 肝胆膵手術について

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 当科では肝臓・胆道・膵臓領域の疾患に対し多くの手術を行っております。その多くは肝臓癌(肝細胞癌や肝内胆管癌、転移性肝癌など)・胆道癌(胆嚢癌や胆管癌)・十二指腸癌・膵臓癌などの悪性疾患に対する手術となっています。

 当院では2018年より消化器内科・放射線科・腫瘍内科などと合同で消化器センターを設立し、診断から治療までをチームとして行っております。特に診断に関しては本年より新たな超音波内視鏡専用機(胃カメラの先端に超音波振動子がついた特殊な内視鏡)を導入し、今までは困難であった膵臓など消化管外に存在する病変から組織を採取する超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA)が可能となりました。また治療に関しても化学療法や放射線治療など手術以外の治療法も含めた集学的治療を複数科で協力して行うことで治療成績の向上を計っています。

腸管外にある腫瘍

内視鏡からでた生検針

肝臓の手術について

 肝細胞癌など悪性疾患を中心に肝内結石・肝嚢胞性疾患などの良性疾患に対しても手術を行っています。
 肝切除を行う疾患の代表的なものは肝細胞癌です。最近は小さな癌に対しては経皮的ラジオ波焼却術(RFA)を行うこと多くなっていますが、腫瘍が肝表面に露出していたり血管に接していたりする場合は安全性や治療効果の面から肝切除の方が有効です。2番目に多い肝切除の対象疾患は転移性肝癌です。近年食事の欧米化に伴い大腸がんが増加しており、その20~30%に同時性・異時性に肝臓への転移が出現します。切除可能な転移性肝癌には積極的に肝切除を行っており、その手術件数も増加傾向となっています。

 肝臓は図のように血管や胆管の通り道から8個の区域に分類されています。肝臓の切除の際はどのぐらいの大きさの病変がどこにあるかを評価して切除する方法を決定します。この分類に沿って肝臓を切除する方法は系統的切除といい、肝臓を半分切除する右葉切除・左葉切除、一つの区域だけを切除する区域切除、最も小さな亜区域だけを切除する亜区域切除などと呼ばれます。腫瘍のある部分だけを区域にかかわらず小さめにくりぬく方法は部分切除といいます。
 肝臓を大きく切り取り過ぎると残った肝臓が十分に働けなくなる肝不全という状態に陥ります。そのため術前に肝臓がどれぐらい元気かを評価しどれぐらいまで切除しても大丈夫かを検討してから術式を決定します。肝切除領域が大きい場合には術前に経皮的門脈塞栓術を行い、切除予定領域の肝容量を減少させ術後の合併症を予防するなど安全に手術が行えるようにしています。

 肝臓の手術は従来お腹を大きく切開して手術を行う開腹手術が一般的でしたが、近年お腹の傷が少なくてすむ腹腔鏡下手術が多くの病院で行われる様になってきています。肝臓は右の肋骨の奥に存在しているため、開腹手術のみでは右の肋骨に沿って大きく開腹する必要があり、術後疼痛も強く術後体力の回復の遅れにもつながります。腹腔鏡手術の場合ポートと呼ばれる小さな穴を5~6カ所開けて手術を行いますので術後の疼痛も軽度で早期の退院が可能となります。当院でも積極的に腹腔鏡手術を行っており、部分切除術を中心に、安全に手術が可能な症例では片葉切除までを腹腔鏡で行っています。
 手術の前には画像解析ソフトによる手術シミュレーションを行っています。これは術前のCT画像情報をもとに動脈や門脈、肝静脈などの脈管を描出し3次元画像を作成するもので、手術前に肝臓の立体構造を把握することで切除範囲を決定したり、手術の安全性を評価するのに役立ちます。術前シミュレーション画像をもとに、術中エコーやICG造影蛍光イメージングなどの術中診断法を併用しながら実際の肝切除範囲を決定し過不足のない手術を行っています。

開腹手術と腹腔鏡手術手術

シミュレーション画像

膵臓の手術について

 膵臓の手術は膵癌を中心に膵嚢胞性病変や神経内分泌腫瘍などの良性・境界悪性病変などに対し手術を行っております。

 膵癌とは膵臓から発生した悪性の腫瘍のことを指しますが、一般には膵管癌のことをいいます。膵管癌は膵管上皮から発生し、膵臓にできる腫瘍性病変の80-90%を占めています。全国統計では肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌についで死因の第5位ですが、近年増加傾向にあり毎年3万人以上の方が膵がんで亡くなっています。60歳代以上の男性に多く発症し、喫煙、膵癌の家族歴、糖尿病、慢性膵炎などとの関連が指摘されています。

膵臓

 膵癌は無症状のうちに進行していることが多く、診断時には切除不可能と判断な状態になっていることも多く経験します。しかしながら術前化学療法や周術期管理の進歩により治癒率は少しずつ上昇してきています。その中でも中心となるのは現在でもやはり外科手術となっています。長期生存のためには癌遺残のない切除が必須であると考え、そのため必要であれば門脈などの血管合併切除を積極的に行っています。

 膵癌は周囲の神経組織などに浸潤して広がりやすいため、膵癌の手術では開腹して周囲組織を含めて膵切除術を行うことを基本としています。低悪性度膵疾患や小さな膵癌に対しては腹腔鏡での膵切除手術も施行しております。また、膵臓のすぐ裏には脾動静脈とよばれる脾臓を栄養する血管が走行しており、膵体尾部切除術を行う場合は脾臓を合併切除するほうが手術は簡単にすみますが、良性病変に対しては脾動静脈を残して脾臓を温存する腹腔鏡下脾動静脈温存膵体尾部切除術も施行しております。

脾動静脈温存膵体尾部切除膵後面授動・脾静脈露出

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