循環器内科 / 代表的な疾患

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冠動脈疾患(狭心症、急性冠症候群)

冠動脈疾患とは、心臓を栄養している血管が動脈硬化を起こすことで血管が細くなり、主に労作時に胸痛が出現します。また、血管が閉塞すると心臓の筋肉が壊死を起こし生命の危険にさらされます。
当院では、心臓CTでスクリーニングを行い、冠動脈狭窄が疑われた症例に関しては核医学検査(負荷心筋シンチ)や、PressureWireを用いて虚血評価し、カテーテル治療を含めた適切な治療を患者さんとともに選択し提供していきます。
症状が強い方や心筋梗塞が疑われる患者さんにおいては、緊急対応を含め迅速に対応できるシステムも確立し対応しております。当院のカテーテル治療においては、緊急を除く全症例において術前カンファレンスを行い、より安全に治療に臨めるよう体制を整えています。
また、治療の際には、光干渉断層像(OCT)や血管内超音波(IVUS)を積極的に用いることにより、合併症も少なく長期成績においても良好な成績を残しています。特にOCTは血管内腔径や病変長をより正確に測定できるだけでなく、病変の性状などより詳細な情報をクリアな画像で得ることができ、治療に大きく役立ちます。

末梢動脈疾患

足のしびれ、冷感、痛みはありませんか?
動脈硬化は心臓のみならず、上肢や下肢、腎臓、脳を栄養する血管など全身の臓器を栄養している血管に起こります。注意が必要です。病気の初期段階では症状が軽いため、発見されることが少なく、ある統計では70歳以上では15%が本疾患を有していると指摘しています。
患者さんの多くは足の症状があっても、「年のせいだから仕方ない」、「糖尿病によるものといわれた」、「膝や腰が悪いから仕方ない」、「もともと冷え症だから」などという理由で医師に相談しないことも多く、発見が遅れることがあります。なんらかの足の症状がある場合は循環器科に相談してください。
診断は手足の血圧を同時にはかること(ABI)で、簡便に診断できます。

スクリーニングを推奨する患者群

  • 年齢50~69歳で喫煙または糖尿病例
  • 年齢70歳以上
  • 労作性の下肢症状あるいは身体機能の低下のある方
  • 下肢血管検査の異常を有する方
  • 心血管リスクのある方

末梢動脈疾患の診断

Step1: 問診・視診・ABI検査
Step2: 血管エコー検査
Step3: 下肢造影CT, カテーテル造影検査

治療法

薬物療法動脈が狭窄ないしは閉塞している場合には、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬)や、血管を拡張させる薬を使って症状の緩和を行います。すべての治療の基本となるものですので、動脈硬化の進展予防も含めて治療が必要になります。

運動療法運動療法は大事の治療方法の一つであり、歩くことによって歩行距離が伸びるようになります。
ただ、歩く際に出現する痛みに耐えながら運動療法を行っていく必要があり、継続しにくいという問題点があります。

血行再建術主にカテーテル治療と外科治療(バイパス術)があります。
カテーテル治療は侵襲度が少なく、短期間の入院で済み、入院翌日から症状の改善が得られます。また、歩くことができるようになると運動習慣を持つことでき、高血圧や糖尿病、脂質異常症が改善され、動脈硬化の進展を抑制することもできます。
最近では使用する道具や技術の向上に伴い再狭窄(治療した場所が再び狭くなること)も減少してきています。
一方、外科的手術は閉塞長の長い病変に対して行われることがおおいですが、カテーテル治療に比べると侵襲度は高く、近年ではカテーテル治療が第一選択となるケースが増えてきています。

*どういった治療が適しているかは、専門の医師とよく相談する必要があります。

心不全

心不全とは、心臓の筋肉や弁膜、心臓を栄養している血管などが障害されることにより、全身に血液を循環するポンプ機能が障害され、呼吸困難や体のむくみが出現する病気です。
治療は主に安静、酸素投与、利尿剤での治療が中心となりますが、時に心臓のポンプ機能を一時的に強める薬剤を点滴したり、心臓や呼吸機能を補助する機器(非侵襲的様圧換気療法、人工呼吸管理、持続血液透析、大動脈内バルーンパンピング、人工心肺など)が必要になるケースもあります。
一度心不全を発症すると、心不全を再発する危険性がより高まり注意が必要です。そのためにも、治療には症状の改善だけでなく原因をしっかりと究明し再発を予防することが大事です。

ここがオンリーワン

当院では定期的に心エコーカンファレンスを行い、心不全の病態、そして心不全を起こした原因となっている心臓疾患を追求することに努めております。様々な立場からの専門的知識をカンファレンスの場で共有することにより、さらに質の高い医療を提供することができると考えています。
また心臓外科手術が必要と判断した際には、周術期経食道心エコー認定医師のもとエコーによる弁膜症等の詳細な評価を行い、これをもとに適切な施設への紹介をさせて頂いております。

難治性高血圧症

高血圧は食生活や加齢に伴うせいと決めつけていませんか?
実は、高血圧症の約5~10%は何らかのホルモン異常や腎動脈狭窄、遺伝子異常などの影響が関与している可能性があるといわれています。これらを総称して二次性高血圧症と呼ばれています。
二次性高血圧を見つけることが大事な理由があります。それは、原因を明らかにしその原因を治療することにより高血圧が完治あるいは内服の数を減らせたり、血圧のコントロールをよくすることができるからです。
二次性高血圧の中で最も多くの割合を占めるのが原発性アルドステロン症です。

ここがオンリーワン

当院では、診断のための負荷検査、画像検査は原則外来で行い、原発性アルドステロン症が疑われた症例に対しては入院の上、経静脈的に副腎静脈サンプリングを行い治療方針を決定します。副腎静脈サンプリングは難易度の高い手技であり、専門施設での施行が勧められております。当院では副腎静脈サンプリングの経験豊富な医師により検査が行われます。
手術により降圧が期待できる症例は泌尿器科にて副腎摘出術(腹腔鏡での手術)を行います。当院では、すでに投薬がされており診断が困難な症例においても、必要に応じ薬剤を変更しながら診断を勧めていきますので、判断に悩まれる症例がございましたらいつでもご相談ください。

スクリーニング検査が推奨される原発性アルドステロン症が疑われる症例

  • 低カリウム血症を伴う高血圧の方
  • 若年者の高血圧または若年発症の高血圧の方
  • II度以上(中等度・重度)の高血圧の方
  • 治療抵抗性高血圧の方
  • 副腎偶発腫瘍を伴う高血圧の方
  • 40歳以下で脳血管障害合併症をお持ちの方

検査の流れ

スクリーニングとして安静30分臥床の上、ホルモン採血を行います。
採血で異常値が検出された患者様は、外来(入院)で負荷検査(2時間程度お時間を頂きます)および腹部造影CTを行い確定診断致します。

根治術を望まれる場合①入院の上、カテーテル検査で副腎静脈サンプリングを行い、実際にホルモン分泌を産生している部位を同定します。
②片側性の場合、泌尿器科にて腹腔鏡による副腎摘出術を行います。

根治術を望まれない場合外来で、内服の調整を行います(その場合にも2次性高血圧に精通した医師によるコントロールを行います)

循環器内科

高血圧センター

2017年4月より運用を開始した「高血圧センター」にて診察を行っております。
詳細は高血圧センターをご覧ください。

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症)

従来、循環器領域において静脈疾患はあまり注目されていませんでしたが、近年、新規抗凝固薬による静脈血栓塞栓症に対する適応追加や、超音波検査機器やCT機器の画像解像度の向上に伴い、診断精度も高まり大きな進歩を遂げようとしています。特に深部静脈血栓症(下肢から心臓へ向かう血管に突然血栓ができ足が腫れる病気)においては、以前は入院を要しましたが、新規抗凝固薬の出現により軽症例においては外来での加療も可能となってきました。

ここがオンリーワン

重度の深部静脈血栓症においては、症状も強く内服のみでは軽快しないケースや慢性期においても下腿の腫れが残存するなど後遺症が残るケースもあります。当院ではそういった患者さんに発症早期に直接血管内にカテーテルを進め血栓溶解を行う経カテーテル血栓溶解療法(CDT)という治療を行っております。
入院期間は数日間必要ですが、より早期に多量の血栓を溶解することにより下肢腫脹の軽減が得られ、慢性期の症状の改善につながります。当院は、CDT加療を積極的に行っている数少ない施設の一つであり、患者さんに応じて適切な治療を提供していきます。

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