がんについて知る / がんについて
「がんの情報」を知る
溢れる情報にまどわされないために
医療情報は玉石混合
「がん」は恐怖心を強く揺さぶる病気です。そのため関連する情報が多く発信されます。そのような情報には、「恐怖心」を利用した営利目的のもの、善意からであっても間違った情報・あてにならないものが、まさに玉石混合となっています。
日本は、言論の自由が優先され、利用情報発信の規制が乏しいことから、質が十分ではないことが指摘されています。また、人間は心理的に「体験談」「ブログ」といったものをより信頼してしまう傾向がありますが、これらは医療情報の信頼性としては最低ランクに位置づけられています。
患者さんが正しく医療情報にたどり着くのは難しいと、9割の医師が考えている
メドピアが運営する医師専用コミュニティーサイト「MedPeer」に登録している医師530人への調査ではそんな結果がでています。
正しい情報を取捨選別するのは容易ではありません。一部が正しい情報も、全体としての文脈では間違っている、ということがよくあります。ですから、一般の方が内容からその正確性を判断することは極めて困難です。
そのため、医療情報については、「どんな情報」を参考にするかを決めるのではなく「信頼できる機関」が発表してるものを選ぶ、という態度も重要です。
まずはがん情報.jp
信頼できる情報として、「発表者が明示されている」「文献がかかれている」などの目安もあります。しかし文献の内容が正確かどうかの判断は難しく、あるいは「医師」「医学博士」の肩書きを利用した詐欺まがいの商売も少なくないことから、絶対ではありません。一番大切なのは「国立の機関の情報を軸にする」ことです
国立の機関は逃げも隠れもできませんから、仮に間違った情報が掲載されても、国内外の専門家から厳しい批評をうけるため、正確な情報が掲載されることが期待されます。
日本においては国立がん研究センターの「がん情報.jp」が、診断・治療・療養・医療機関の情報などについて、もっとも網羅的に、正確に記載されているサイトで、当院としてもお勧めしています。
また、米国国立がん研究所(NCI)の発信する世界最大のがん情報については、専門的内容が多くなりますが「PDQ日本語版」といったサイトが参考になります。
そのほかの情報
大学病院などもこれに準じますが、クリニックレベルですと「医師個人」の主観に大きく作用されてしまうため、正しいことを保証しにくくなります。
書籍については、有名学会の監修するガイドライン等は信頼性が高くなりますが、個人の書籍については、どんなに立派な肩書きが付いていても、それだけでは信用することはできません。
闘病記・ブログ等については、参考にしないのが原則、と考えて下さい。これらは、向き合い方・気持ちなどを参考にして、医学的な正しさは参考にしない態度が重要です
「私はブログを読んでも正しく判断できる」という自信がある人こそ、肝に銘じて下さい。心理的な罠(バイアス)や不正確な記述の中から、ブログの中から正しい情報を見抜くのは、専門の医師であっても極めて難しいことで、「判断できる」と思うのは、まさに正しく判断しにくい人の特徴だからです(特殊詐欺でも、私は騙されないという人が騙されやすいという話は有名ですよね)