病院長あいさつ

院長

能登を震源とする「令和6年能登半島地震」にて
被害に合われた皆様に謹んでお見舞いを申し上げますとともに
1日も早い復興と安全をお祈りいたします。
また、対応・対策にあたられている全ての方々に、心より感謝いたします。

平素より、皆様には神鋼記念病院へ多大なるご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延から4年以上が経過しました。
2023年5月には「5類感染症」へと移行され、全国の病院ではポストコロナ時代の地域医療として、コロナを含めた新興感染症の診療と一般診療の両立が求められます。これまで、地域の皆様のご協力・ご支援により、大きな問題を生じさせることなく、診療を継続できましたことを厚く御礼申し上げます。しかしながら完全な終息への道は未だ予断を許さず、インフルエンザ等のその他の感染症も猛威を振るっております。今後も感染症に対する治療及び安全管理に真摯に取り組んでまいります。

 当院は、地域医療を基本とする「地域医療支援病院」、「がん診療連携拠点病院」としてその機能を発揮し、安全で安心できる質の高い医療の提供を目指しております。また、2023年4月より京都大学を中核拠点病院とする「がんゲノム医療連携病院」として、「がんゲノム診療科」「がんゲノム外来」を本格的に開始いたしました。京都大学が主催するエキスパートパネルに参加し、専門性の高い最先端のがん治療を院内で行い、遺伝子情報に基づく高精度ながん治療の提供に努めてまいります。

 また、2020年10月より兵庫県宍粟市波賀診療所へ当院医師の派遣を開始し、2021年11月に「宍粟市と医師派遣に基づく協定」を締結して、本年で3年を迎えます。コロナ禍においても、途絶えることなく週2回の診療支援(医師派遣)を行い、地域の皆様に貢献できる医療をご提供することができたと自負しております。今後はへき地医療拠点病院の申請も行い、継続的に地域医療への取り組みに邁進していきます。

 さらに、2019年から始まった「働き方改革」推進に関しては、いよいよ2024年4月から医師に対する「時間外労働の上限規制」の適用が開始されます。これにより働き方改革に向けた継続的な取り組みが求められるなか、医師をはじめとした医療従事者の働き方改革(業務効率化、タスクシフトなど)や、診療報酬上の対応を踏まえ、その推進に対する診療報酬上の対応や評価の在り方が議論されております。当院としましても多職種協働によるチーム医療やDX化の推進等の取り組みで、さらに質の高い医療を提供できるよう体制を整えています。
どうか今後とも温かいご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。


2024年1月 記
院長 東山 洋


 

 平素より、神鋼記念病院へのご理解、ご協力ありがとうございます。
 新型コロナ感染症の対応を始めてから3年の歳月が経ちました。第八波もピークを越え、収束の兆しも見えてきたようです。新型コロナウイルスの感染法上の分類が5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げると決まりました。当院は重点医療機関の経験を生かし、油断することなく引き続き、職員一同、新興感染症に対しても万全な感染対策を講じつつ、安全な医療を提供していきます。

 当院は、様々な臓器・血液のがんや膠原病リウマチ疾患のような難病において高度かつ専門的な医療を提供するとともに、地域医療や救急医療、へき地医療を担う地域の中核的な役割を担っております。
 特にがんの診療においては、今年の1月1日付で「がんゲノム医療連携病院」に認定され、遺伝子パネル検査への対応等、今後のがん診療に幅広く対応できるようになりました。
 現在の医療は疾患のみを診るのではなく、患者が抱える様々な疾患や生活環境等も踏まえた医療を提供する必要があります。専門的な治療のみならず、患者を総合的に診る医療を推進していかなければ、今後一層増加する高齢者医療に対応することが困難になってきます。

 一方で、医療者の働き方にも様々な面から負担軽減に向けたワークシェアやタスクシフトを推進する「働き方改革」に対応しなければなりません。救急医療を担う当院では、医師をはじめ、看護師やコメディカル等の働き方改革を推進していく必要性が特に高くなっています。

 また患者・家族の皆様の視点に立った良質かつ安心な医療の提供を目指し、丁寧な分かりやすい説明を行い、情報の共有化に努めることにより、より一層の信頼関係を構築してまいります。
 皆様が安心して医療を受けられるように、職員一同 誠心誠意努めてまいりますので、皆様方のあたたかいご支援とご助言を心よりお願い申し上げます。


2023年4月 記
院長 東山 洋


 

 明けましておめでとうございます。
 新型コロナウイルス(COVID-19)と対峙して3年近くになります。この間、重点医療機関として、肺炎外来とコロナ病床(14床)を運用しつつ、高度・急性期医療を継続してきました。がん・難病・高リスク患者さんが多い中、感染力を増幅したオミクロン株の院内感染対策では、職員の強い使命感とたゆまぬ努力により期待される役割を果たすことができております。

 政府は2022年後半より政治・経済的観点から規制緩和を勧め、「コロナと共存」を表明し、世間も各分野で「3年ぶりに○○を再開した」との報道が盛んです。当然、地域医療構想も再開されます。2022年11月16日に広島都市圏で公立・公的・民間8病院を再編する予想を超える構想が発表されました。今後、民間病院が大都市圏の急性期医療で生き残るには、5疾病6事業で巨大公立病院と同等の実力・人材が不可欠となります。当院は人的資産の宝庫で、着実に治療実績を積み上げた結果、2023年1月1日に兵庫県で5病院目となる「がんゲノム医療連携病院」に認定されました。がん診療はゲノム解析に基づく個別化治療の時代となり、当院においても「がんゲノム診療科」を新設します。

 当院では宍粟市波賀診療所への診療協力として、月8回以上の医師派遣を継続しています。少子高齢化社会における医療は、「疾患・臓器別専門性」のみではなく、「総合診療の知識・経験」に加えて、「病気ではなく病人を診るという『心』」が必須であり、へき地医療や地域医療の要である救急医療は医師に必要な修練です。このように地域性や医療需要等の医療環境の変化に対応しなければ医師も病院も生き残れない時代が来ています。

 地域がん診療連携拠点病院の認定更新には医療機能評価取得が必須となりました。多種多様に変化する政策に迅速な対応が必要です。今年は働き方改革、医療機能評価再取得など様々な改革を行う重要な年です。職員が一丸となって重要な年を乗り越え、より良い医療の提供を目指します。


2023年1月 記
院長 東山 洋


 

 2022 年は年初から家庭内感染による感染の拡大が顕著となり、第6 波は今までとは比較できないほど様々な対応に迫られています。2月には、一時的に救急診療や一部の病棟で診療制限を行いました。同様に神戸市の急性期を担う病院の大半が同様の診療制限に追い込まれるほどの大きな波となっており、依然として第6波の終焉が見えないほどです。

 このような状況の中、2022 年度は当院にとって3つの重点課題を推進する重要な年度です。

① 「がんゲノム医療連携病院」の申請
 2021 年4 月1 日に国指定の地域がん診療連携拠点病院に認定されて、2022年度中には数々の要件を満たすことから、「がんゲノム医療連携病院」の申請を行います。今後の癌診療にはゲノム解析を応用した個別化治療が必須であり、多くの若い医療者からなるチームを編成して対応していきます。

② 「へき地医療支援病院」の申請
 前年、宍粟市と締結しました「医師派遣に関する協定書」に基づき、2022 年2 月1 日より月8 回以上、波賀診療所(兵庫県宍粟市)に当院医師を派遣しており、「へき地医療支援病院」の認可を目指し申請を行います。今後必要とされる医療は専門資格と同時に総合診療の能力であり、当院の使命は次世代医療を担う優秀な人材の育成です。

③「医師の働き方改革」の推進
 「医師の働き方改革」は最重要課題です。2024 年4 月実施に向けて今年度中に目途を立てる必要があります。これは医師のみの問題ではなく、今後の病院の機能、診療・救急体制、経営などに直結します。

 引き続きコロナ禍は続くと予想されます。院内外活動もweb 開催・ハイブリッド開催そして対面開催等の様々な方法を用いて順次開催させていきます。地域医療構想調整会議も再開され、公立病院、公的病院等(神鋼記念病院はここの範疇)だけでなく、初めて民間病院も含めて議論されます。このような医療環境のもと、当院はDPCの大学病院に準ずる特定病院群の認定を継続することができました。

 コロナ診療と通常医療の両立を継続し、上記①②③を達成すべく、職員が一丸となって前進してまいります。


2022年4月 記
院長 東山 洋